葛根【かっこん】
葛根湯でおなじみの!
知っている漢方薬は?飲んだことがある漢方薬は?
との問いで一番に返ってくるのは、皆様おなじみの・・・「葛根湯」ではないでしょうか?
有名な葛根湯に入っている生薬の中から、「葛根」について書いていきたいと思います。
日本各地に分布するマメ科のつる性木本、クズの根。根からとれるでんぷんを葛粉といい、根に多く含まれるクズデンプンは食用としても葛湯や葛餅、葛切り、葛粉などの原料として用いられています。日本では奈良県の吉野葛、福岡県の秋月葛が有名です。
万葉集に詠まれている秋の七草(萩・尾花・葛・撫子・女郎花・藤袴・桔梗)。の中の1つでもあり、春の七草(セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ)が食用の野草や野菜であるのに対し、秋の七草は薬用植物であることは、とても興味深いですね。
漢方で葛は、頭痛や肩こりなどの感冒症状、麻疹、筋肉の緊張、口渇、下痢などに用いられます。民間では葛でんぷんに砂糖を加えて溶かしたものを葛湯と呼んで風邪の初期や腹痛に用います。
中国では代表的な漢方生薬のひとつであるように、日本でも昔から病人や子どもの栄養源として知られています。葛粉にはイソフラボノイドという成分が多く含まれていて、この物質には筋肉や血管の緊張を和らげる働きや炎症を抑えて熱を下げる働きがあると言われています。
葛根湯に使われる原料は根っこの部分で、葉や茎からは葛布といわれる織物が作られ、かつては衣服として使用されていました。また茎をそのままロープ代わりに使ったり、牛馬の優秀な飼料として与えられたりと、様々な用途で生活に役立てられていたそうです。
葛根が含まれる処方
発散作用
葛根湯・・・感冒や急性症に解表薬(発汗によって肌表にある邪気を取り除く治療法)として用いる。特に項背部が緊張し、頭痛や鼻炎症状があるものに麻黄・桂枝と配合する
葛根湯加川芎辛夷・・・中耳炎には桔梗・石膏などと配合する
透疹作用
升麻葛根湯・・・発疹や皮膚疾患に用いる。麻疹などの初期で発疹の出かたが悪い時には升麻と配合する
止瀉作用
葛根黄連黄芩湯・・・急性の下痢に用いる。急性腸炎や小児の疫痢様下痢に黄連・黄芩と配合して用いる
その他、桂枝加葛根湯、参蘇飲、独活葛根湯 等があります。
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